成瀬整骨院ブログ
5類感染症-全数把握、破傷風の治療方針について
2014年9月29日 17:34
こんにちは横浜市金沢区の腰痛・成瀬整骨院のスタッフです。5類感染症-全数把握、破傷風の治療方針について以下参考として引用します。
今日の治療方針
私はこう治療している
総編集 山口 敬 北原光夫 福井次矢
TODAY'S THERAPY 2010 医学書院より引用
5類感染症-全数把握
破傷風
tetanus
三鴨廣繁 愛知医科大学大学院教授・感染制御科
治療方針
治療
破傷風の治療は創傷管理と全身管理に大別される。破傷風疑い例・診断例は、救命救急センターや集中治療室の整った施設への迅速な搬送が重要である。
受診直後に、まず気道と換気の評価を行う。重症例では、気管挿管(気道の確保)のあと人工呼吸(換気の維持)が開始される。気管内チューブがけいれんを誘発するようなら、気管切開の適応となる。
1.抗毒素療法(受動免疫) 受傷直後の発症予防には破傷風ヒト免疫血清グロブリンを、受傷後可及的速やかに250IUを筋注ないし静注する。受傷の外傷例では、1,500IUを静注し、広汎な第Ⅱ度熱傷では適宜反復投与する。破傷風発症後の経過の短縮や症状の軽減には、創部処置を施す前に、軽-中等症例では1,500-3,000IU、重症例では3,000-4,500IUを静注投与し、症状により適宜増量する。破傷風ヒト免疫血清グロブリンの血中生物学的半減期は静注、筋注を問わず3-4週間である。
処方例
テタノブリン-IH注 1回3,000-4,500IU 点滴静注
2.創傷処置 創部の洗浄、デブリードマン、異物の除去が必須である。
3.抗菌薬治療 他菌(グラム陽性球菌、嫌気性菌など)との複数菌感染も想定して抗菌薬が投与されることも多い。
処方例 下記の薬剤などを症状に応じて適宜用いる。
1)ペニシリンGカリウム注 1回300万単位 1日4回 点滴静注 7-10日間
2)フラジール錠(250mg)8錠 分4、またはFlagyl注 1回500mg 1日4回 静注 7-10日間(日本では注射剤は未発売)
4.トキソイド療法(能動免疫) 受傷直後、基礎免疫完了者(3回の接種完了者)では、最後の接種から5年以内であれば特に外傷時の接種を必要としない。最終の接種から5-10年以上経過した基礎免疫完了者は破傷風発症の危険があると判断される外傷時には、ブースター硬化を期待して1回追加接種する。受傷直後、接種歴3回未満の非免疫者や不完全免疫者は少なくとも基礎免疫の完了が当面の目標となる。予防接種歴の不明な者は緊急時には非免疫者として扱う。なお、破傷風から回復しても免疫の獲得はない。
処方例
沈降破傷風トキソイド注 1回0.5mL 皮下注、または筋注
5.筋けいれんコントロール 些細な感覚刺激でけいれんが誘発されるので、静かで暗くした治療環境(光と音を避ける)が適する。強直性けいれんの制御と鎮静を目的としてミダゾラムなどによる薬物療法を実施する。
処方例 下記のいずれかを用いる。
1)ドルミカム注 1回5-10mg ワンショット静注、その後は2mg/時で持続点滴静注し、
適宜増減
上記1)の鎮静薬でコントロールできない場合は、下記の2)大量マグネシウム療法または3)筋弛緩薬を使用する。
2)マグネゾール注(硫酸Mg2g/20mL)1回5g(硫酸Mgとして)徐々に静注、30分経過
後、1-2.5g(硫酸Mgとして)/時にして持続点滴静注
3)マスキュラックス注 初回0.08-0.1mg/kg静注、その後0.02-0.04mg/kg 適宜静注
6.自律神経機能障害コントロール 自律神経機能障害は交感神経活動亢進状態に伴うカテコールアミンの過剰放出に起因する。血圧のコントロールには、通常、α・β-遮断薬のラベタロールが用いられる。他にもモルヒネの持続点滴静注、硫酸マグネシウムの点滴静注や腎神経叢に対する硬膜外遮断も行われる。低血圧には、輸液に加えてドパミンやノルアドレナリンが点滴静注で用いられる。
予防
日本人の成人の多くは十分な抗体を有していない。受傷時や海外旅行などの機会には、ワクチン追加接種を積極的に推奨すべきである。
感染症法による取り扱い
破傷風は感染症法令で全数把握の5類感染症に定められているので、破傷風を疑った場合、医師は診断日から7日以内に最寄りの保健所に届け出なければならない。病原体診断を確認できた場合は、その旨を報告する。
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